五輪の陰で

南オセチア自治州での戦闘
 北京での五輪開幕式に合わせて、ロシア軍とグルジア軍がグルジア南オセチア自治州で戦闘を始めた。2004年にグルジアで親欧米政権が誕生して以来、ロシアとの関係が悪化していた。南オセチア自治州はもともと親ロシア地域であり、治安維持のためにロシア軍も駐留していた。


 西側の黒海と東側のカスピ海との間に挟まれたカフカス地方はロシアの火薬庫とも呼ばれている宗教と民族が複雑に入りこんだ地域である。グルジア領内にある親ロシア地域であるアブハジア自治共和国南オセチア自治州は、今年はじめのコソボ独立宣言に刺激されて独立を求める動きが激しくなった。

 ロシアはグルジア北大西洋条約機構NATO)入りを阻止するために、これら地域への支援を強め、両国関係は対立の度を高めていた。グルジア政府は両地域の支配回復を公約に掲げ、広範な自治権を与える交渉を続けてきた。

 対立の背景にはグルジア政府を支援する欧米諸国があり、20世紀の米ソ対立の再現すら懸念される。共産主義政権のもとで様々な民族を統一してきたソ連ユーゴスラビアが崩壊して、各少数民族が独立意識を高めて来ているが、その背後にはやはり大国が存在して、問題を複雑にしているのが現在の状況である。

 残された中国は、ソ連とユーゴと同じ轍を踏まないように、中央政府が強硬な手段を弄しているが、いつまでも続けることはできないであろう。開幕の式典で民族の融和と結束を訴えている姿が生々しい。

南オセチア自治州グルジア北部の自治州で人口約7万人である。グルジア人は2万人で、他は言語系統の異なるオセット人で、ロシアの庇護下で事実上は独立状態にある。
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