五輪雑感

五輪雑感
 争いの絶えなかった古代ギリシャで、4年に一度は喧嘩を止めて、その代りに運動競技で仲良くしようというのが五輪精神であったはずだ。建前は現在でもそのまま受け継がれている。開催国にとって何か不都合な問題が起こると、必ず五輪は政治や経済とは無関係と主張している。


 開幕した北京五輪の次は、2012年のロンドン五輪と決定している。来年10月のIOC総会では2016年の開催地が決定される。東京都は名乗りを上げているが、お膝もとの都の広報部の調査では、賛成者はわずか15%で、55%は反対との声が都民から届けられている。

 東京五輪の旗振り役は言うまでもなく知事であるが、反対の中味はどうやら、この人の言動にあるようだ。2006年1月の招致発端となる時に「日本をなめたらあかんぜよと、世界に悟らせるために東京五輪を絶対成功させたい」と幼稚な国威発揚宣言をしている。すでに事前運動のために、いつの間にか150億円もの税金を投じているし、五輪のための建築土木工事では総額1兆円必要と算出されている。

 すべてこの人を選出した都民の責任であるが、これほど言行の一致しない政治家も少ないであろう。当初、北京五輪を批判して、ヒトラーベルリン五輪と同じと言っていたはずであるが、チャーター機で開会式に出席するまで中国に擦り寄っている。また、さらに、最近では皇太子への東京五輪への協力要請をめぐって、慎重な態度の宮内庁役人を木端役人などと悪しざまに言う姿勢は都民として許せないであろう。

 トータル5万人の人民解放軍兵士を動員して1年間にわたって訓練してきた開会式の儀式を称賛する人もいるが、地上最大の偽善ショーという人もいる。人と金を動員して国威を発揚する儀式は20世紀型であり、大げさにすればするほど、隠さなければならない不具合が沢山あるのであろうと思ってしまう。何はともあれ北京五輪は何とかスタートしたので、最後まで支障なく終了することを祈っている。何かが起こるとすれば8月15日前後が最も危険な時であろう。
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