国際関係の読み方

裏読み国際関係
 米国とロシアの緊張が高まってきた。グルジア問題に首を突っ込む米国にロシアが反発、それを支持したシリアはロシア製の兵器を手にして、これでイスラエルまで緊張が高まっているようだ。グルジア問題を契機として、共和党のマケイン大統領候補の人気が高まってきたことから推察すると、どうやら、話は逆で、何とかして民主党オバマ候補に対抗したい軍需産業に関係した共和党の一派が、親米国のグルジアに働きかけて、ロシアに対してことを起こしたようだとの話がワシントンでは出てきている。


 これにより、マケイン候補の人気が高まり、しかもイラクから手を引き気味で、衰えを見せ始めた米国の軍需産業のテコ入れが図られたことになる。グルジア救援と称して、米軍のイージス艦までボスポラス海峡から黒海に入り込み、ロシアと対峙する意気込みを示している。

 新大統領のもとで、何とかその指導力を国内外に誇示したいクレムリンでは、いろいろとターゲットを探っていたら、ちょうどグルジアという格好の的が見つかったということであろう。米露が阿吽の呼吸というべきか、あるいは、すでに北京の五輪開幕式でブッシュとプーチンとの間で合意ができていたようにも読み取れることだ。ロシアの軍需産業にとっても、ここのところ武器消費が減ってきているので、絶好の機会が来たということになる。

 このグルジア紛争は米露に好都合な戦略であることに気が付いているECは、現在リーダー役のフランス大統領がかけずり回ることで、ECはECとしての役割を果たして、EC内部の引き締めに利用しているようにも見える。こうなると、五輪の陰に隠れて、米露とECはそれぞれにパワーゲームを演じながら、お互いにメリットを享受しあっているように思われる。

スウェーデンストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した「08年版SIPRI年鑑」によると、世界5大武器輸出国は米国、ロシア、ドイツ、フランス、英国で、この5か国で世界の軍事貿易総額の80%を占めたという。うち米国が31%で、輸出先は韓国、イスラエルアラブ首長国連邦UAE)、ギリシャの順。ロシアの武器輸出先は45%が中国で、ほかはインド、ベネズエラアルジェリア。武器輸入国は、1位がインド、2位アラブ首長国連邦UAE、続いてギリシャ、韓国。
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