裁判員

裁判員制度について
 来年5月には始まるこの制度については、管理人も良くは理解していない。300人に一人は当たるというから、宝くじよりも確率は高い。米国に駐在中、陪審員(juror)の指名が来た時には驚いたが、各州の発行する運転免許証から抽出されるから、外国人であるかどうかは問われない。ただし、条件のところ読むと、英語が流暢に(fluently)読み書き聞くことができるという項目があったので、これにチェックして不適格と返事を出したら、その後、何も言ってこなかった経験がある。


 裁判員は判決に関与する陪審員とは基本的に異なる。裁判員法は4年前に全会派の賛成で成立したが、最高裁の国民の意識調査では積極的に参加したいという回答は15%しかなかった。選ばれたら参加が原則で、他人を裁く立場にされるから、昔の徴兵制度にも似ている。このままだと選挙人名簿をもとにして抽選で全国で30万人の候補者が選ばれて11月末までに通知される予定という。

 1事件につき6名の裁判員が予定されているが、6人を選び出すために100名もの候補者が呼び出される。呼び出されたからと言って、実際に裁判を担当するかどうかは分からない。手当は出るが日当1万円である。

 この制度の意味を考えてみると、いろいろとおかしなことが想像される。司法への市民参加というのが趣旨であるが、法律知識も乏しく、他人を裁くという意識もない平均的な国民は、ただ職業裁判官の言いなりで、時の政府寄りの判決に市民代表としてのお墨付きを取られる役目をするだけとなってしまうであろう。

 ある憲法学者は「政府が公共性に名を借りて、統治に対する重い責任を国民に強制的に課し、個人の内面改造を意図する試みで、公共的価値や国民の義務を強調する憲法改正の理念と同じである」と述べている。「凍結するなり、細部を考え直すという発想が必要」と野党が見解を表明しているが、遅きに失しているのではないかと思う。
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