官僚と世襲政治家

経済大国の復権
 シンガポールの首相が、一人当たりGDPで日本を抜いたことについて「日本には多くのことを学んだが、ひとつだけ学ばなかったのは官僚の縦割り組織だ」と言って、霞ヶ関の官僚制度を皮肉っている。日本の官僚制度が国民のためになっていないことを知っていて、官僚は自己の増殖が最大の存在理由であることを理解している。世襲政治家に結びついた官僚組織が日本を滅ぼすことを予見している。


 首相は「国民を豊かにすることをいつも考えている。官僚たちもその役割に徹している」と述べ、労働集約的な産業構造から知的集約型へと変化させ、金融業や流通業を中心として付加価値の高いシステムへと改革してきた。その成果が表れて来ている。韓国や中国の主要都市でも、同じような道を歩み、いずれは日本を抜き去ることが目に見えている。

 頭のいい霞ヶ関官僚指導のもとで、多くの世襲政治家があたかも自分で政策を立案しているつもりになって、法律を作成したり改悪するたびに日本経済は泥沼に落ち込んできている。建築基準法貸金業法金融商品取引法などの法律改悪は、どれだか経済の足かせとなってきたか、ある試算によるとGDP換算でマイナス1.5%という。

 これに追い打ちをかけるように、11月28日から施行される改正建築士法がある。これまでは1級建築士で作成できた書類が、一定規模以上の建設では、構造設計と設備設計1級建築士の資格が必要となる。これで、工事の遅れによりさらに建設業の倒産が増加することは明らかだ。

 国土交通省の狙いは、現在、50万社を超える建設や不動産業界を再編成して、官僚の支配が行き届くシステムを構築するところにある。官僚支配国家への道をまっしぐらに驀進している。これでは経済大国の復権などは夢のまた夢であろう。

http://iiaoki.jugem.jp/?eid=2218松永氏
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