夢と時間

実力を発揮するには
 漫画家と作詞家との間で著作権論争が行われていた夢と時間であるが、五輪のメダリストたちのコメントに夢の実現という言葉が多かった。時間をかけて努力をしてメダルという夢を実現したのだから当然であろう。けれども夢は必ずしも結実するとは限らない。むしろ努力の結果が夢として報われる人は、メダリストたちのような、ほんの僅かの人だというのが現実の世界である。
 
 実際には大多数の人たちは夢に破れて、他の道へと転身していくのも人生である。だからと言って、夢を実現できた人だけが幸せというものではなく、実現できなかった人が不幸だというものでもない。「人間すべて塞翁が馬」とか「禍福はあざなえる縄のごとし」とも諺にあるとおり、それぞれにまた新たな道を切り開く用意がされている。

 夢の実現とともに、今回、何か優等生的なコメントも多く聞かれた。たとえば「周囲の人たちのおかげ」、「応援してくれた皆さんに感謝したい」とか、北島選手も「この喜びを皆さんと分かち合えてうれしい」などと語っている。これは個々の選手たちの能力を最大限発揮させるためのメンタル・トレーニングの結果という。

 使命感や周囲への配慮や感謝の気持ちをもつことで、思考を素直にし、ピンチに追い込まれても楽しくなるようなトレーニングをする。これにより、勝たなくてはいけないという脳が委縮するような追い詰められた気持ちを転換することで、良い結果を出すことができるようだ。

 日本ではいつももてはやされているプロ野球の選手にはこの精神がなかったことも敗因の一つだったかもしれない。スポーツ選手に限らず、普通の人も結果を出すためには周囲の人たちへの感謝の気持ちが大切なのかもしれない。
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