グーグルの10年

グーグル設立10年
 企業などの組織は導入、成長、成熟、衰退とおよそ30年で一サイクルを終えて、次のステップへと発展していくのが標準と言われている。1998年に発足した検索システムのこの会社は、2004年の上場からわずか4年で株式時価総額トヨタ自動車に並ぶ巨大企業となったことから、10年一サイクルという急成長で発展してきたといえる。


 スタンフォード大学の二人の学生が始めた検索事業は、今では全世界の60%のシェアになっているが、新世代企業の追い上げや世界的な景気減速のあおりで、成長神話にも影が差し始めている。

 検索結果に連動する広告システムによる高収益を武器に事業拡大を続けている。動画投稿サイト、地図、電子メール、ワープロなどのビジネスソフトなどのネット事業からエネルギー研究などへも乗り出そうとしている。さらにMSのIEに独占されているサイト閲覧ソフト(ブラウザー)でもグーグル・クロムの試験版を開始している。携帯電話用向け基本ソフト(OS)を搭載した携帯電話も登場する見通しである。

 シリコンバレーで最も成功した企業であるが、その背景には独特の企業文化が存在している。それは10の哲学としてネット上に公開されている。開放的で自由闊達なイメージで、全世界から30代前後の優秀な人材を引きつけ、米国では最も働いてみたい企業のトップに位置している。

 しかしながら、検索連動型広告以外の有力な収益源がなく、2万人になった社員数による組織の肥大化や大企業病も心配されている。個人情報の取り扱いや市場独占に対する風圧も高まっている。格付け調査会社では「成功がもたらす明るい企業文化が優秀な人材を引きつけ、さらに発展するというグーグルの成長サイクルを維持することは難しくなっている」と指摘されている。

 先発企業のMSは1986年の上場後、独禁法訴訟や新興ネット企業が澎湃として輩出してきた1990年代末ごろから株価の頭打ち傾向が鮮明になっている。ヤフーは1996年の上場後、4年足らずで起きたITバブル崩壊後の株価や業績の低迷に苦しんでいる。

 いつまでも米国発の検索システムに牛耳られているのではなく、各国ともそれぞれに独自の言語文化を使った検索法を開発している。すでに中国や韓国では実用化が始まっている。欧州でもフランスやドイツでも同様の動きがあり、日本としても独自のシステムを生み出す時が来ている。
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