総裁候補の問題発言

総裁候補者の人種差別発言
 2003年10月に政界を引退した元自民党の幹事長野中広務氏が、現在、総裁選挙で最も有力と言われている現幹事長について、絶対に許さないと発言している記事が新聞の片隅に掲載されていた。ことのいきさつは、麻生氏の「野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ」という発言にあるようだ。

 ことの詳細は、魚住昭氏のノンフィクション著作「野中広務 差別と権力 」に描かれている。自民党の総務会で、引退する直前に野中氏はこの発言に言及して「君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん」と締めくくったとされている。

 「バカヤロー」の一言で衆議院を解散した吉田茂氏の系統をひく、この政治家の口からは過去様々な差別発言が出て来ている。総裁に当選して首相になっても、審議の中で問題発言が飛び出すことを恐れている自民党は、臨時国会開幕早々の施政方針演説だけで解散を狙っているのも、失言を心配しているようだ。

 例えば「朝鮮人が名字をくれと言ったのがはじまり」と植民政策の創氏改名を肯定したり、外国人特派員協会では「独断と偏見かもしれないが、私は金持ちのユダヤ人が住みたくなる国が一番いい国だと思っている」などと、ユダヤ人は金持ちと断定している。この考えはナチスドイツからの迫害の根拠のひとつなっていることも知らない発言である。
*「野中広務 差別と権力魚住昭著 講談社文庫