新内閣の誕生

政治家の発言に潜む隠蔽工作
 新首相は「日本を明るく強い国にすることが私の使命だ」と決意を表明した。この言葉の裏には、現在の日本は「暗くて弱い国」との認識が首相の心にはあるのであろう。管理人はそのようには考えていないが、もしそうだとしたら、自公連立政権がもたらした結果であるから、自民党の要職にあった首相の失策であるとも言える。
 
 さらに、内閣の基本方針については<1>国民本位の政策を進める、<2>官僚を使いこなす、<3>国益に専念することを全閣僚に指示するという。これも裏から言葉の意味を解釈すると、これまでの政権は、国民本位でない政策をしてきたこと、官僚の言いなりになってきたこと、国益を無視してきたことを認めたことになる。

 政治家は言葉がすべてだから、過去に犯してきた失政を隠蔽するために、まるで他人事のような発言をする手法がある。日本だけではなく、前FRB議長のグリンスパン氏は最近になって「現在の金融混乱は100年に1度のことである」などと発言して、自分は部外者の立場に立とうとしている。実はサブプライムローンFRB議長時代に自ら推進していたことを隠そうとする姑息な発言であることは、米国の関係者は熟知している。

 ポールソン財務長官が7000億ドルの金融安定化策をまとめ、米証券取引委員会(SEC)が金融関連株の空売りを禁止して、何とか金融崩壊を防ごうとしている。長官は1年前には中国で、資本市場を完全に開放しなければ経済の潜在力として数兆ドルを失うリスクがあると指摘して、自由化された金融市場は政府の介入よりもはるかに安定と繁栄を助長する方法で、希少な資源を有効配分できるなどと講演していた。この発言とは全く相いれないことを実施しようとしている。

 元首相が「改革なくして成長なし」などと絶叫していた姿ともダブるのであるが、政治家の言葉にごまかされてはならない。矛盾すること、自分の信念を曲げること、過去の発言や行為を隠蔽することなど厚顔無恥こそが政治家の生きる道なのであろう。
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