捻じれてよじれた米下院

金融安定法案の否決
 大統領と米財務省が議会に頭を低くして、ようやく採決に持ち込んだ金融安定法案があっさりと下院で否決されてしまった。民主党は賛成多数だったが、共和党は反対多数という結果で、トータルで反対多数で否決というのであるから、共和党の大統領としては面目ないどころか、捻じれて捩れた議会採決というものであろう。日本のねじれ国会などはこれから見るとたいしたことではない。
 
 これこそ民主主義の手本とも思われる。厄介なことに民主主義は独裁主義とは違って、選挙が基本となっているから、時間とカネがかかる制度なのである。最も独裁国家では金融安定法案などとは無関係ではあるが。

 この法案が成立したとしても、米国内の各金融機関が自らの不良債権に対して自主的に救済を求めるかどうかは分からない。それでも市場では法案が出たことで安心感が広がっていたはずである。

 日本の場合でも、1999年のRCC整理回収機構)設立だけでは、邦銀の抱える不良債権処理は進まなかった。2003 年の民間金融機関への公的資本の強制注入によって、邦銀の不良債権処理が一気に進んだ。この機構が不良債権を購入する適正価格を決めるのが難しいからだ。高く買えば納税者からたたかれるし、あまり安くすると誰も売らなくなるからだ。

 さて、次の一手が待たれるところであるが、そうこうするうちに10月中旬の、次の日曜日の嵐がやってくるかもしれない。何とか対策を打って嵐を回避してもらいたいものである。
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