国会論戦

野党の答弁権
 臨時国会が始まり衆参両院で論戦が繰り広げられている。論戦とはそもそも、書類に記載されている文章を読み上げるものではなくて、相手の顔を真正面に見て言葉を戦わすものである。あるいは米国の大統領のように、隠されているカンニングペーパーを見ながらでも、国民に語りかけるように偽装することも大切である。大統領候補や副大統領候補の論戦でも書面を見てしゃべれば減点になる。
 
 与野党とも、文章を読み上げることに集中していて、肝心の中身が国民には伝わっては来ない。ひどい場合は、ページを飛とばして読み上げた首相も過去にいた。今回、首相の所信表明演説では、民主党に対する対抗意識むき出しの子供じみたもので、いささか興ざめなものであった。野党への逆質問の繰り返しで、これに対して野党の党首が逆に所信表明演説をして、すでに選挙後の様相を呈していた観がある。

 首相は野党側がまともに首相の質問に答えていないと不満を述べているが、もともと野党側には答弁する時間も権利も与えられていない。政府与党の質問にいちいち答弁していたら、野党の質問時間がなくなってしまうからである。しかも、これから補正予算の審議に入ろうかという前に、首相が民主党は補正に賛成なのか反対なのかを答えろというのも、国会の予算審議の何物かを知らない言いがかりであろう。

 野党党首の演説に対して、テレビに映し出された檀上の首相は口を曲げたり、顔をしかめたりする反応はいささか見苦しいものだった。親分が野党への挑発を繰り返したことを受けて、自民党の幹事長がこれに乗り、何だか有楽町のカード下の下品な酔っぱらいみたいな口調で、野党党首をこき下ろしたのも、全く論理不明で恥の上塗りをしたようなものである。もう少し節度をもっと大人の論戦を国会では期待したい。
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