他人事のように言う首相

明るく強く元気よく
 何十年も前のことだが、小学校の担任の先生がよく、このような言葉を言っていたことを思い出す。メルマガで首相はこれと同じように「日本の元気を取り戻す、強くて明るい日本をつくることこそが、私の使命であると思っています。緊急な上にも緊急の課題は、日本経済を立て直し、生活を少しでも豊かにすることです。すぐさま景気対策、物価高対策に着手します。日本経済は全治3年。3年で日本は脱皮せねばなりません」と語っている。


 この言葉の裏には「現在の日本は弱くて暗く無気力で、日本経済はがたがたで大病を患い国民の生活は苦しい」との認識が首相の頭にはあることは明らかだ。ではどうしてこのような状況に追い込まれたのか、少なくとも1980年頃には「21世紀は日本の世紀」などとも言われていたはずだ。

 この原因を探ると、日本の政治と経済を支配してきた霞ヶ関の官僚機構の上に、胡坐をかいていた永田町の自民党政権の、いわば一党支配の悪影響にあることは明らかであろう。もちろん、このような統治のシステムを選択してきたのは日本国民であることも間違いはない。ただ、支配の機構は予算管理を通して、国民の投票権までも左右してきたことも事実である。

 首相は国会の論戦で、まるで自分は自民党とは異なる組織にいたかのように錯覚しているようだが、過去に4度も総裁選挙に立候補して数々の党の要職を踏んできたのだから、このような状況を生み出した張本人であることを認めるべきであろう。厚生年金の記録改竄について「ふざけた話だ。こういう話はきちんと厳正にやっていく以外にはない」と述べて、自分の立場を外に置こうとしていることは許せないことだ。

 もうひとつ最後に、あまり報道されていないが、先日の所信表明演説の冒頭で、「かしこくも御名御璽をいただき」と発言した。これは戦後に築き上げてきた主権在民憲法の基本精神を踏みにじるものと思われる。日本は神の国と発言して、首相の座を降りた人と同じレベルの内容であろう。
http://iiaoki.jugem.jp/