嫌われ者

ベニスの商人
 シェイクスピアベニスの商人を引き合いに出すまでもなく、昔から金貸しは嫌われ者と決まっている。自動車やテレビのように眼に見える形で商品を生み出すのではなくて、利ざやで金儲けだけを企んでいると見られるからである。しかしながら、製造業のような「きつい、汚い、きけん」という3K職場とは違って、学生には甚だ魅力的な職場と思われている。


 米下院は金融安定化法案をようやく可決にこぎつけ、大統領は法案に署名をした。この救済策だけではクレジット市場の問題解決や米景気後退の回避はできないとのことで、相場は売りが優勢となった。次に政府がしなければならない対策は、公的資金の注入による銀行の資本増強となるが、おそらくこれは新大統領の登場となる来年1月末となるであろう。

 米国での金融安定法案の審議を通して、目に見えてきたのは、選挙前の政治家の弱さと金融機関への世間の風当たりの強さであろう。日本でも新首相は解散総選挙を前にして、景気対策増税延期を打ち出して、世間への迎合政策を全面に出している。また、金融機関の救済策には、日本の経験でも、どうして銀行や証券会社を救済しなければならないかとの議論が多かった。

 金融機関は自由主義経済の支えであり、これなくして健全な産業の発展はありえないと思う。ただ、時として、金儲けだけのベニスの商人と化し、異常なくらいにマネーゲームに狂奔することがあるから、大衆の敵となることもある。人の欲望には限りがないが、資源は有限であることを常に意識すべきであろう。
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