時価会計の放棄

時価会計の見直し
 企業会計基準委員会は金融商品に関する会計基準を見直すという。改訂案を年内にまとめて、金融庁金融商品取引法の関係政省令で最終決定するようだ。2009年3月期からの早期適用を模索している。欧米で金融機関や企業が保有する債券や証券化商品などの金融商品時価で評価する時価会計の適用を一部凍結する動きに呼応した。


 企業会計には、真実、正規、資本利益区分、明瞭、継続、保守、単一の7原則があるが、世界的な金融市場の混乱を受けて、原則にこだわらずに時価会計凍結を打ち出さざるをえないという狼狽ぶりである。

 日本では取得原価主義で会計処理を行ってきた。10年前に坪10万円で購入した土地が、現在は1万円になっていたとしても、会計上は10万円で処理することで、実際は9万円マイナスであるが、これが隠されてしまうこととなる。時価会計では9万円の損失を会計上明瞭に表示しなければならない。ここでは減価償却を無視した。

 債権や商品化商品では、保有目的を売買から満期保有に変更することで、価格が下落しても評価損を計上しないですむ。その企業は評価損を隠していることになり、真実性の原則が損なわれる。時価会計を緊急避難的に凍結したところで、お得意の問題の先送りとなるだけであろう。投資家には市場に対する不信感が増し、かえってさらなる株価下落にもなりかねない。
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