嚥下窒息事件

食品事故のたびに
 こんにゃくゼリー、食パンによる窒息死事件が続いた。張り切っているのは消費者担当大臣で、ゼリーの製造会社のトップを呼びつけてヒステリックに「小さな警告マークのみの商品は回収し、出直せ」と製造中止させたと報道されている。こんにゃくの主産地である群馬県にある会社では、この主力製品を取り上げられては倒産してしまう。
 
 業界団体に注意するのではなく、直接企業の幹部を呼びつけるやり方は、大臣のスタンドプレーである。会長をしている自民党消費者問題調査会でも、さまざまな法規制を取りまとめる方針というが、幼児向けでない食べ物を食べさせた大人にも問題がある。この調子でパンについても規制の輪をかけたら、業界はますます委縮してしまう。

 食品ではないが、ここ数年、羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くような規制強化が続いている。耐震偽装建築をなくすために検査を厳しくする、多重債務者を救うために金利の上限を引き下げる、投資信託では元本割れで泣く人をなくすために証券会社での販売規制を厳しくするなど、すべて霞ヶ関の後追い行政の付けである。この3k規制でどれほど景気の足を引っ張てきたことか。

 食品で窒息死する件数は年間4400件も発生しており、トップはご飯で、第2位がパンという。高齢者の増加もあるが、日常的に最も多く食べている食品がのどに詰まるケースが多いというのは、ごく自然のことである。交通事故をなくすために車の使用を制限するのと同じで、米食を制限することはできない。ゼリーは特殊なケースというべきだ。

 年間数件のゼリー事故だから問題ないとは言わないが、何か事あるたびに民間業者をいじめて、正義の味方きどりをすることはやめるべきであろう。この大臣にはマルチ商法を称賛していた経緯もあり、大臣として肝心なことを考える資質に乏しいように思う。
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