行政の不作為による殺人事件

不作為による行政の殺人
 妊産婦にとって最後の砦であったはずの母子医療センターに指定されていた都立病院が受け入れを拒否して、妊産婦が死亡した事件は、明らかに都行政の不作為による殺人事件であろう。リスクの高い妊娠に対応する都内の病院24施設では、妊婦の受け入れ状況を検索できるシステムを配置していたが、今回はこのシステムが作動しなかったのだから、東京都の関係者は責任を問われるべきである。
 
 それにしても、待ってましたとばかりに早速に問題の都立病院を訪問した厚生労働大臣も、消費者担当大臣と同じようにスタンドプレーが過ぎると思う。「非常にショックで重く受け止める」と語ったうえで、「医療体制が整備されているはずの東京でこのような事態が起きたのに、妊婦の死亡から2週間以上も厚労省に報告が上がってこないのはどういうことか。情報を上げてくれれば国も手を打てる。都にも責任がある。都の姿勢に対して怒りを覚える」などと批判した。


 厚労相はこの病院の「東京ER(救急治療室)」などを視察して「周産期に対応する全国の病院がどの程度のスタッフで勤務を回しているか把握し、改善したい」等と述べているが、保険医療制度の基本が崩壊していることを認識しないかぎり、小手先の対応で対処できることではない。同じような事件が全国で起きているが、このままでは再発を防ぐことはできない。
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