金融サミット

金融サミットの開催
 11月15日にワシントンで世界20カ国の首脳が集まりG20が開催され、世界的な金融危機への対処策が協議される。1944年7月に大戦後の通貨や経済の混乱を収拾するために45カ国が終結したブレトンウッズ会議に準えられている。もしかしてこの会議開催以前に、すでに世界経済は取り返しのつかない深刻な状況に落ち込んでいることすら予測されている。

 この会議では各国で金融危機への認識を共有して、公的資金による金融機関への資本注入で金融システムを支える世界恐慌回避策などが討議され決議されるだろう。これですべての危機が消えるわけではないが、それなりの効果は期待できる。

問題は世界中にばら撒かれた不良債権の見積もりが見えてこないことだ。IMFの見積もりでは、世界中の金融派生債券の総額は、およそ6京円という天文学的な金額である。京は兆の1万倍の値である。その内のどれくらいかが不良債権化しているかが問われている。

100年に1度の金融混乱は土地、住宅、株式、不動産、資源が永遠に上り続けるという神話が崩壊しただけである。そこで、これらの債権のうち、これまでの例から2%程度は紙くずと仮定すると、1200兆円という巨額の不良債券額が算出される。ちょうど日本の個人資産総額に相当する。これを受け留めるためには、各国がその損失額に応じた国債を発行して、それぞれの国の銀行が買い支えることしか方法はない。

 1944年のブレトンウッズ体制は、1971年のニクソンショックでドルと金との交換を停止して終了し、ドルも普通の通貨となったはずだ。NYでの多国間決済の仕組みがそのまま継続したこと、中東産油国がドルペッグ制を利用したことで、基準通貨として存在していた。この結果、米国は貿易赤字の計上を続けることができた。ドルに代わる基準通貨として、ユーロ、円、元などが入り乱れてくるが、その収束には時間がかかる。

 20世紀は社会主義体制が崩壊し、21世紀に入ってから資本主義体制も揺らぎだしてきた。大きな政府ケインズでもなく、小さな政府のフリードマンでもない新しい経済の指導原理が期待されてくる。案外に、社会主義的な資本主義みたいな体制で、国民の刻苦勤勉で国を築いてきた日本のモデルが21世紀の模範として、地球経済の再生に役立ってくるのかもしれない。

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