遅すぎる金融サミット

ブレトンウッズ協定2.0 
 1944年7月、第二次大戦後の通貨金融体制を決める会議が45カ国も参加して、米国のニューハンプシャー州にある避暑地ブレトンウッズで開催された。戦争で混乱した世界経済を安定させ、国際的な協力による通貨の安定、貿易振興、開発途上国の援助を行い、自由で多角的な世界貿易体制をつくるため為替相場の安定を図る目的であった。国際通貨基金IMF国際復興開発銀行世界銀行)の設立も決められた。
 
 この11月にはEUの首脳会議に続いて、ワシントンでG8と関係する諸国が参加して緊急に開催される。まさにこの会議は、世界的な金融混乱を収束させ安定化へ向かわせる目的で開催されるから、国際的な金融秩序回復へ向けた第二のブレトンウッズ会議とも言うべきである。

 G8の議長を務める日本が指導力を発揮する絶好の機会であったが、現在、EUの議長を務めるフランスの大統領が積極的に飛び回り、この会議では指導力を発揮する構えである。同大統領は「これまで欧州は米国の後塵を拝してきたが、いまやアメリカの時代は終わった」と公言している。ドルに代わる新経済秩序はユーロを中心として考える構想である。

 米国や欧州に比べて、不良債権の影響は少ないと言われている日本やアジア諸国であるので、日本や中国が主導権を取って通貨安定への秩序回復を進めるべきであった。影響が少ないというのは、欧米の金融機関は実は巨大な金融債権で金を稼ぐビジネスモデルから、アジアを仲間に入れなかっただけにすぎないようにも思える。そう考えると、やはり日本は蚊帳の外であるのはやむおえないことだ。

*Bretton Woods Agreements
http://www.canadianeconomy.gc.ca/English/economy/1944Bretton_woods.html

*Bretton Woods:風光明媚なニューイングランド地方の避暑地で、欧州など世界中から人々が来ていた。その時の巨大なホテルは今でも営業している。ホテル内には1944年に使った会議室がそのまま保存されている。NY市からは車で3時間、ボストンからは2時間である。
http://iiaoki.jugem.jp/