ドル支配は終わるか

ドル帝国は終焉するか
 1年半にも渡る米大統領選挙はあと4日となった。様々な波風があったが、10%の差をもって民主党オバマ氏の優勢は動かない。投票日になって、はじめて黒人大統領誕生のイメージに対する心理的葛藤を持つ人もあるから、マケイン氏との差は縮まると思われる。米国大統領あるいは候補者は常に暗殺の場にさらされていることも懸念材料である。


 住宅ローン問題から発した金融恐慌により、ほとんどの経済専門家はドル支配の終焉と書きまくっている。ドルに対するある種の畏敬の念をもつ者にとっては、そうあって欲しくはないし、簡単にはそうはならないと思いたい。いずれにしても、次期大統領は金融システムと景気の立て直しという難題に最優先で取り組まなければならない。

 11月15日のワシントンで開催される金融サミットでは、オバマ氏も次期大統領として会議に招集されると思うが、ここのところの彼の演説から、その戦略はほぼ見えて来ている。まずはイラク戦争の収拾であり、力の対決とは縁を切り反対者とも話し合う外交戦略をとるであろう。金融問題に対しては、フリードマン型の行き過ぎた金融自由化を見直し、実体経済の発展を阻害しないようなある枠を嵌めた限定的資本主義を目指すであろう。

 枠付きの市場原理主義は、景気を悪化させる懸念を持っているので、新しい産業群を育てることが必須となる。その候補は環境とエネルギー革命で、これにより雇用と需要を創出する新ニューディール政策をとるであろう。この実現には100兆円単位の資金が必要となり、米国債を日本やBRICSなどに押し付けることとなろう。

 草の根民主主義の米国大統領選挙を通じて、オバマ氏の支援者たちは大量にワシントンDCに参集し、ブッシュ政権の多くの高級官僚たちはDCを去っていくこととなる。世襲政治家と高級官僚に支配され、様々なシステムがすべて崩壊に瀕している日本とは違う国である。いろいろと欠点もあるが、日本の国土の30倍の面積をもち、日本のGDPの3倍を稼ぎ、過去50年間でノーベル賞受賞者の60%を輩出している国が、そう簡単に倒れるとは思えない。
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