景気対策のからくり

増税のための餌付け
 首相の肝いりで、口や顔を曲げながら自ら熱演した景気対策であったが、市場は前場では300円超安で応えた。内容は何だか民主党が主張してきたことの盗作みたいで、迫力不足だからそれも当然の結果かもしれない。金のばらまきも民主党案は子供と限定していたが、全世帯というから、大金持ちを自慢している首相自らも手にすることになる。過去の例から、総額2兆円のうち、消費に向かうのはせいぜい30%と予想されている。


 これまでにも1988年に竹下内閣のふるさと創生事業で全国の市区町村に1億円を一律に配布したこと、1998年に小渕内閣は発行額7000億円の地域振興券をこどもと高齢者に対して1人2万円ずつ発行した例がある。 前者については、受け取った自治体では処分に困り、金塊や宝くじを購入したところもあった。後者の景気対策では、実際に消費に使われたのは30%の2000億円程度で、貯蓄に回されてしまって効果は薄かった。過去の例を見ると、こうした政府からの金のばらまきは10年毎に行われてきたことが分かる。

 住宅ローンの減税については、最大600万円などと金額だけが大きく報道されているが、これは所得が1000万円以上で、購入価格6000万円以上の物件に適用される条件であるから、この減税に浴することのできる人は、ほんの2〜3パーセントである。

 高速道路の通行料については、民主党案では無料であるが、政府案は極めて限定されたもので、しかも休日のETCと乗用車に限定しているから、明らかに選挙対策以外の何ものでもない。流通経費に大きくかかわるトラックが外されていることで、経済効果はほとんどない。それどころか休日の物資予想に渋滞のトラブルが予想される。

 これからの年金、医療、福祉、教育などについての不安の解消が入らないと、一時的に僅かな金を支給されても、ただただ絶望感にとらわれるだけである。しかもこの金は、元をたどれば、政府が稼いだものではなく国民が稼いだものである。その上、3年後には消費税が倍の10%になるというのでは、支給される2兆円が200兆円にもなって、振りかかってくるような気がする。これはどう見ても、景気対策に名を借りた選挙対策であり、増税のための餌付けである。

 解散総選挙こそ最大の景気対策である。
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