日銀利下げの効果

利下げについて
 なんだか日銀は財布の底をはたいて、なけなしの金融政策を持ち出した感がある。日本銀行政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の0・5%から0・2%引き下げて0・3%にすると決めて実施した。株安や円高が利下げの主な理由だったと総裁は説明しているが、皮肉ことに、発表と同時に株価は大幅に下げて終了した。


 ダウ平均は若干上げて週末を迎えたので、4日の火曜日には日経平均も上げ相場で開始するものと予想される。本来、政府も市場も0.25%の引き下げを期待していたが、この0.05%が日銀総裁としての政府に対する、ささやかな独立性の証明と言いたいようだ。

 記者会見では「先行きの予想を示すことはつらい作業だ」とも総裁は述べて、見通しについての不確実性が高まっている心境を吐露している。しかし過去を振り返ってみれば、これまでの日銀総裁が的確な見通しをもって、金融政策を真っ当に実施してきたことはないのであるから、何も心配はしていない。むしろ会見で自信なげに、俯き加減にぼそぼそと語る姿はいただけない。見ている方で気がめいることである。

 利下げそのものよりも、同時に決定した日銀当座預金金利を付与する制度と補完貸付制度の金利引き下げの方を評価したい。前者は、各金融機関は常時、日銀の当座預金口座に無利子でお金を預けているが、この預金に対して来年4月まで、限定的に0.1%の利子をつけることである。

 後者は金融機関が担保の範囲内で日銀から資金を借りる制度で、その金利を0.75%から0.5%に引き下げた。この二つの制度で、各金融機関はある程度で資金の流動性を確保することができる。それでも危ない地方銀行は出てくるであろう。
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