新大統領

新大統領とその経済政策
 20世紀では計画経済の社会主義が崩壊し、21世紀になってから間もなく資本主義が崩壊とまではいかないが、その根幹が揺らぎだしている。第一次世界大戦をへて、1920年代になり米国はアダム・スミス流の自由放任主義で資本主義が花開いたと思ったが、1929年10月に株式相場が崩壊して大恐慌となった。


 ケインズ有効需要の不足によって発生している大量の失業を,政府支出の拡大なり減税といった財政政策,あるいは通貨供給の増大といった金融政策によって,解消していくことができる理論を完成させた。民主党大統領のルーズベルトニューディール政策として大規模な国土開発などで、ケインズ政策を実施した。

 この政策もやがて、赤字国債の大量発行による財政赤字の増大と規制された制度での産業競争力の衰退を招き、ケインズ政策の限界が見えてきた。需要サイドを重視した政策で、経済を運用するには大きな政府を必要とすることが必要であり、この考え方はその後、民主党の支配的な政策となった。

 これに対して、ハイエクからフリードマンにつながる経済政策は、政府の介入をできるだけ無くし、自由な市場の原理にすべてを任せることで、経済発展を遂げることができるというもので、規制緩和など供給サイドに立った政策を柱として小さな政府による運営を目指し、1980年代のレーガン大統領時代に、共和党の支配的なものの考え方となった。2002年にフリードマン教授が90歳の誕生日に、ブッシュ大統領からホワイトハウスに招待されたことはその象徴である。

 まとめると、民主党は主としてケインズ経済学を信奉し、大きな政府で需要サイドを重視した政策であり、共和党は主としてフリードマン経済学を信奉し、小さな政府で供給サイドを重視した政策となる。共和党支配の市場原理主義の欠陥が露呈し、ちょうどその時、大統領選挙で民主党の大統領が誕生することになる。

 ケインズとかフリードマンとかいう時代は終わり、新たな経済の指導原理が求められる方向となる。それは政府による適度な規制を効かした市場原理主義という政策になるであろう。枠付きの市場原理主義は、景気を悪化させる懸念を持っているので、新しい産業群を育てることが必須となる。

 その候補は環境とエネルギー革命で、これにより雇用と需要を創出する新ニューディール政策をとるであろう。この実現には100兆円単位の資金が必要となり、米国債を日本やBRICSなどに押し付けることとなろう。
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