官僚内閣制

恐ろしいこと
 参議院外交防衛委員会でおよそ3時間も使って、政府見解と異なる意見を発表して更迭された航空幕僚長参考人招致が実施された。もとより参考人の個人的な見解を聴取する場ではなかったはずであるが、質問する方が何だか及び腰だったので、確信的な発言をする参考人の言いたい放題の場となってしまった。

 米国でも陸海空3軍の長は大統領であるように、この件で最も重要なことは文民統制(シビリアン・コントロール)が揺らいだことである。文民の大臣が官僚によって蔑(ないがしろ)にされてきていることが、どうも濃厚である。

 参考人は私企業主催の懸賞論文に応募したり、この企業とのかかわりが深く、ワイン・パーティに出席したり、企業のトップを戦闘機に搭乗させたりして、空自を統括するトップにして、特定の企業との癒着は異常と思える。このようなことを放置してきた大臣の責任も問題とすべきである。

 酒好き、ゴルフ好きの参考人と聞くと、逮捕された防衛省次官を思い出させるが、この人の背後には前首相が二人も絡んでいることまで明らかにされている。12月8日には懸賞論文を祝うパーティまで準備されていて、石川県出身で同郷の前首相が発起人に名前まで連ねているという。これでは、何を言っても書いても大丈夫とのお墨付きを出しているようなものであろう。

 これに対して、歴代の防衛大臣は、見て見ぬふりをしてきたことも濃厚であり、この参考人を「言いたいことも言えないなら北朝鮮と同じだ」と開き直るところまで、つけ上がらせた罪は重い。防衛省に限らず、霞ヶ関は相変わらず官僚内閣を構成して、永田町でどのような内閣ができても、永久不滅と思っているのであろう。

 大統領が変わったら、ワシントンDCでは高級官僚群の大移動が始まると言われているが、日本でも首相が交代したら、少なくとも霞ヶ関の局長以上の首の挿げ変えをすれば、政治にも変化が来ることであろう。
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