金融サミットでの中国

サミットでの中国の存在
 G8に加えて、中国、インド、ブラジルなど12カ国の新興国が参加して開催されたワシントンでの金融サミットで目立ったのはフランスの大統領と中国の国家主席であった。ブッシュ大統領もこの二人には格別に気を配っていたことが分かる。


 仏大統領は現在、EUの代表であるからことから当然である。中国はいまや、日本越えるドル資産を保有しているし、欧米ほどには金融危機が差し迫ってはいないから、この豊富な外貨と預金に対する期待からである。

 中国は9月末時点で、1.9兆ドル(190兆円)にのぼる外貨準備を保有し、かつ人民元建ての預金残高は4.3兆元(570兆円)と、日本の約7割程度の預金残高を保有している。これを背景として、会議ではIMFはもっと発展途上国への配慮をすべきだと強調していた。中国はこれから自国の利害関係を強化しながら、IMFに資本注入する形で存在感を強めていくであろう。

 中国は国内総生産GDP)の約15%にあたる4兆元(60兆円)規模の財政出動による大規模な内需拡大策を発表している。本来、G8という枠の中でのサミットだったが、この枠をG20にまで拡大しなければならなくなったことが、もはや、先進国とか新興国とかいうレッテルではおさまらなくなったことを示している。

 各国の利害関係が交錯する中で、先進国は新興国の助けを借りなくては金融混迷の解決の道筋が見えなくなってきている。1944年に米国NH州のブレトンウッズには戦勝国側の47カ国が会議を開き、戦後の国際金融体制を決めた。ついでながら、この時の英国代表に経済学者のケインズがいた。

 この体制は1971年にニクソン大統領がドルの金交換性を停止したために、事実上は終わっているが、その後も、大国である米国の通貨は便宜上、国際間の決済に使われてきている。仏大統領は「ドル支配は終わった」などと言っているが、あえてドルの継続ということを口に出すこともはないが、ことはそう簡単ではない。
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