経済対策のからくり

新総合経済対策のからくり
 10中旬に内閣府から各省庁に、経済対策の取りまとめを依頼する文書が流された。これに従って各省庁では、ここぞとばかりさまざまな省益を取り入れた対策が練られた。首相は政局よりも政策などと言って、官僚の作文を読み上げたものが新総合経済対策である。
 
 このような場合に、まず官僚たちが考えることは、できるだけ余計な仕事はしたくないということ、天下り機関の増設などできるだけ省益につながる内容であること、自民党政権が長生きできることにつながることなどである。こうして見ると、それぞれの対策案の真実の中味が見えてくる。

 公明党が主張していた定額給付金は、選挙のときの票の買収金的な性格であるが、これに要する事務手続き作業は膨大なものとなる。だから、できるだけ簡素にしたいから、大金持ちを自称する首相の家庭も含めて全世帯に一律に支給としたのである。これに対してバラマキ批判が出てくると、すぐに年収1500万円以下の世帯などと、世間離れしたことを言い出している。

 昨年度のデータで示すと、年収1500万円以上の世帯は5%程度であるから、一律支給とあまり違わないし、分別することによる事務手続きを考えたら混乱度は増すばかりである。現金支給ではなく、該当する世帯に引換申請券が郵送されてきて、これを市役所などでクーポン券に変換する。しかも使える店は限定されているし、お釣りはもらえない。クーポン券の偽造、詐欺、だましなどの横行も懸念されている。しかも、実際に消費に回るのはせいぜい30%と言うから、景気対策にはあまり貢献しない。

 住宅ローン減税についても、年収200万円以下の人が1000万人を超えていることから、いまさら持家を作る人は限られているし、最高600万円もの減税を受け取るには、7500万円以上の住宅かアパートを購入しなければならないというから、これも浮世離れしている。

 目玉のもう一つは高速道路料金であるが、乗用車だけ休日に1000円で乗り放題という案は、国土交通省で作成した。これにはETC搭載車だけという限定が付いているが、これがもともとの狙いである。高速道路の利用拡大であるならば、別にETCに限定する意味はない。ETCを管理運営している天下り財団法人「道路システム高度化推進機構」では、なかなか普及しないETCの拡大に利用したいと思っているだけだ。この財団の理事は天下り役人だらけで、ETCを契約するだけで、自動的に600円程度の金が転がり込む仕掛けである。

 政府の案と言いながら、官僚の言いなりになるだけで、国民のためとは言いながら、すべては霞ヶ関のためになる案しか出てこない。日本的システムを崩壊させない限り、いつまでたっても国民は税金を払って、その金は政権与党と霞ヶ関のシステムを強固にするために使われるだけのようだ。
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