揺れる首相周辺

首相の周辺から
 国の最高権力者を貶すのは気が引けるし、気が滅入ることである。残念ながら1年で投げだした前の二人と比べても、あまりにもお粗末なことが多すぎるように思う。中でも最も気になるセルフは「私の指導で」とか「私のリーダーシップで」実施したと、わざわざ私や俺を強調して見せなければならない自信のなさである。


 党首討論で部の悪さを感じたのか、その翌日には岩手県に出かけて「言ったことを実行する頼りになる政党は自民党。その先頭に立って戦う」と、一体、首相は誰と戦うつもりなのだろうか。首相が戦ってもらわなければならないことは、国民の生活の安定と向上である。選挙よりも経済政策と言いながら、福田前内閣から引き継いだ第一次補正予算を出しただけである。

 株価の下落、企業倒産件数の増大、諸物価の高騰、非正規労働者の大量解雇などの雇用不安、銀行の貸し渋り増加など、押し寄せる経済不安定要素に対して何もできないで、「経済通の首相」とは片腹痛い話である。「100年に1度の危機」に乗じて、解散・総選挙から逃げ、首相の座に居座り続けたいだけの本心が見破られてしまい、支持率も危険域の20%台に入ってしまった。

 それでも相変わらずパフォーマンスだけは得意満面で、マスコミを引き連れて八重洲のブックセンターに出かけて、マンガではない堅い本を4冊購入する場面を演出して見せた。これで、漢字の読めない汚名を挽回したつもりとは情けない話である。すべて官邸が仕組んだ演出とは思うが、お粗末なことに1か月前に購入したものと同じ本が入っていたようだ。買うだけで読んではいないことがばれてしまった。

 自民党の中堅・若手から首相の政権運営について批判が相次いでいる。これに対して、各派閥領袖クラスは党内の結束を呼び掛けなければならなくなっている。霞ヶ関でも「各省庁はもう麻生政権を見放して、民主党シフトを取っているのではないか」との疑心暗鬼まで党内に広がりだしているようだ。

過去の衆議院解散を見ると、首相が追い込まれてから解散総選挙をして、議席を増やしたことはない。首相が先手を打って解散総選挙をすれば、勝ち目が出てくることが実証されている。このまま「100年に1度の不作無能内閣」で追い込まれ解散をするか、先手を打って解散をすることができるか、まさに首相の真価が問われている。このままでは史上はじめて、先手を打っても負け戦さとなる恐れがある。
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