ひとりの反乱

たった一人の反乱
 野党提出の衆院解散要求決議案に与党でただ一人賛成した自民党の渡辺元行政改革担当相に対し、党執行部は戒告処分を即日決定した。麻生内閣への不信任ともとれる行動に対しては、いささか軽い処分で、早期決着をしなければならないほどに、自民党はきしみだしている。


 首相の政権運営への不満は党内だけでなく公明党にも波及しているから、年明けの次期通常国会ではさまざまな波乱が予想される。メルマガでは「雇用促進住宅の空き部屋の活用は、すでに1000戸の入居が決定しています」と呑気に言っているが、こんなことで済むのなら世話はない。ここ数年の景気回復のカギを握っていた、労働者派遣法による見せかけのコスト圧縮というビジネス・モデルが崩壊しているのである。

 その上、輸出依存のモデルも世界経済の収縮で崩れてしまった。だから、派遣と輸出ということに頼らない雇用創出事業を生み出すことを考えなければならない。政府はこれについては音なしの構えである。人手不足の事業はこれまで蔑(ないがしろ)にされてきた第一次産業である。農業、漁業、林業などの政府は補助金をつけて仕事を生み出し、雇用を創出していくチャンスがきた。食糧自給率向上にもつながり、一石二鳥の策である。

 さらには挫折しかかっている行政改革を強力に進めることで、財政赤字幅を縮小する努力をしなければならない。官僚が自民党政府を完全に支配している現在の政治のモデルを完全に崩壊させることで、明治維新以来継続してきた国家行政の官僚支配を断ち切り、国民のための行政組織に変えるチャンスがきている。

 官僚に政治を任せていたからこそ、官僚支配体制保持のために、日本の財政赤字や箱物行政で無駄なものを作ってしまった。渡辺氏がたった一人で言いたかったことは以上のようなことと推察する。
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