熱狂が去って

熱狂のドラマが終わって 演説全文
 就任演説の行われた記事堂からポトマック川のほとりに立つリンカーン・メモリアルまでの距離3Kmで幅が400メートルのモールを中心として200万人が集合した。4年前のときの写真から判断すると10倍の規模である。新大統領から語られた言葉は、先に指摘したとおり、リンカーンケネディー、独立宣言、聖書などの言葉から、ビートルズの歌詞まで下敷きとして使用し、「結束により責任を果たす」と言うことに集約される。
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 スピーチライターは弱冠27歳の青年で、そのコツはオバマ氏の著書「マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝」を肌身離さず持ち歩き、「オバマ氏になりきって書くことです。彼の身振り、発声、抑揚なども考慮しながら」と語っている。選挙戦の開始以来、オバマ氏を身近に感じ、その言葉を演説の文章に仕上げる責務に取り組んできたという。

 リンカーンケネディーの有名な言葉も、元をたどれば必ず同じような表現を見つけることができる。だから言葉そのものには独創性をもたらすことは難しいが、その言葉を使って、独自の哲学や思想を盛り込むことが肝心要であろう。「言うは易く、行うは難し」と言う通り、言葉を実行に移す時がきた。

 厳寒の地で行われた狂熱の嵐が去って、ホワイトハウス内で目を覚ましてみると、すぐにでも手をつけなければならない仕事が目の前にぶら下がっている。1776年に独立した米国は、良くも悪くも原理や原則に従って行動することを義務付けられている。このことは演説の中で随所に語られている通りである。

 経済は日本のような経験主義ではなく、経済学の原則に従った原理に従って処理するチームができているから、この政策と成果に期待するだけである。問題は外交にあり、その原理は「多様な価値観の容認」と言うことであるから、粘り強い対話路線と言うことになる。この中では、アフガニスタン問題が最も難しいであろう。下手をすれば、イラクの混乱がこちらに移動するだけとなりかねない。また、この問題では日本はどのような協力をするのかが問われてくる。