大統領権限

大統領の権限
 米国大統領と日本の首相とには、どのような権限の違いがあるのであろうか。直接選挙で国民から選出される大統領と議員の中から選出される首相であるから、一概には比較できないが、一般には大統領の権限の方が大きいと思われている。国家権力である立法、行政、司法の三権のうち、議会が立法を、裁判所が司法を担うのは日米とも同じである。


 違いは行政権にあり、日本では内閣が行政権を持つが、米国では憲法に「行政権はアメリカ合衆国大統領に帰属する」と規定されている通り大統領が行政権を一手に握る。だから日本の内閣の全権力が、大統領一人に与えられていることになる。

 内閣の会議である閣議は全会一致が原則なので、首相は全閣僚が賛成しないと、やりたいことができない。大統領が行政の決定権をすべて握っているから、閣僚全員が反対でも、大統領がやる気なら、政府は大統領の指示どおりに動くことになる。

 大統領は強大な人事権をもつ。大臣や補佐官、大統領府8部局、15省庁と約50の行政機構の幹部高官を指名する。ただし閣僚は上院の承認がいる。政権交代で省庁のトップから局長クラスまでが、すべて入れ替わる。DCではこれから数万人が一斉に出入りするから、これを称して「回転ドア」と呼ばれている。

 軍の最高司令官であるが宣戦布告の権限は議会にある。法案に対して拒否権を持つが、提案権はない。大統領は予算教書で方針を提案するが、予算案は議会が提案する。大統領は議会で弾劾裁判により有罪とならなければクビにならない。こう見ると、大統領の権限は首相よりも弱いとも見られる。ただ世界への発信力は、就任式に見られるとおり日本の首相は足元に及ばない。
http://iiaoki.jugem.jp/