トヨタ自動車

エースの復活への期待
 生産量でGMを抜き世界一となったのも束の間で、勝ち組企業の代表格が扱けて、日本全体に暗雲がかかってしまった。世界のトップを目指して、右肩上がりのビジネスモデルしか描いていなかった経営陣の失策であろう。素早くトップ交代という手段に出た所はさすがである。営業赤字の最大のもとは、頂点を目指すために増やした設備や人員である。これら固定費の圧縮が新社長の取り組む最大の課題である。


 経営者は円高の影響を強調しているが、これは責任を転嫁する考えである。自動車会社の損益分岐点は70%と言われてきたが、トヨタは80%にまで上昇していたから、需要後退にもろい体質であったと思われる。過剰設備の問題は製造業には常に付きまとうことで、日本の鉄鋼業は過去いくどか悩まされてきた。要するに、製造業の経営判断のポイントは必要最小限の設備と人員で、最大シェアを確保することにつきる。

 もう一つの課題は品質である。ネジ一本に至るまでの品質管理を誇っていた会社であるが、世界シェア15%を目指した拡大戦略の足元で、ここ数年、品質神話に黄色信号がともっている。国内だけでなく、米国、ブラジル、中国でもリコールが急増している。2007年には、米国の「コンシューマー・リポート」誌でトヨタの評価が引き下げられている。

 それでも他社の車に比べれば、まだましである内に、神話を復活させる手段を講じなければならない。真の国際的な企業に脱皮していくために、天から課せられた試練と思えば、この難局に対処していくことができるであろう。誰もが日本のエースの早急な回復を、固唾を飲んで見守っている。
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