強かな官僚

「渡り」斡旋
 首相に対する批判記事はもはや週刊誌の売りではなくなってしまったと言う。口では考えは変わらないと言いながら、消費税といい、定額給付金といい、その考え方がこれほど変える首相も珍しい。


今度は、官僚の渡り問題だ。2007年に成立した改正国家公務員法で利害関係のある民間企業への「退職後2年間は天下り禁止」というそれまでの制限をなくす一方、各省庁のあっせんをやめ、新設する「官民人材交流センター」に一元化した。

センターは渡りのあっせんをしないが、センターが本格稼働するまでの3年以内の移行期間中、第三者機関の再就職等監視委員会が承認した場合に限り、各省庁によるわたりのあっせんを認めることにした。 だが民主党などの反対で監視委員の人事案に国会同意が得られず、委員会を発足させられないため、官僚は政府を動かして、昨年末に首相自らが承認できる政令閣議決定して「元職員でも必要不可欠な場合はあっせんできる」との条項を入れさせてしまった。 これでは事実上、これまでとは何ら変わらないことになり、官僚が勝利宣言をしていた。

首相はこれまで「政令を厳格に運用する」と、承認の可能性に含みを残してきたが、野党だけではなく、自民党公明党からも、これではますます選挙で不利ということで、首相に断固たる決意を迫った。その結果、「今後はあっせんの申請がでてきた場合においても、認める考えはない」と述べ、在任中は事実上禁止する考えを明らかにした。

法律に優先する政令は、憲法違反の疑いもあるから、この政令を屑かごに入れるまでは追求するべきである。記者の質問に対して「民意に従った」と述べたが、そうであるならば、70%もの民意が反対している定額給付金も即刻撤廃すべきであろう。

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