緑のニューディール

グリーン・ニューディール
 オバマ大統領が環境やエネルギー投資で経済を再構築しようという政策で、アメリカのことなら何でも模倣したい自民党が早速に真似をして、2月末までに日本版グリーン・ニューディール政策を出すそうである。
 
 1929年の大恐慌を受けて、ルーズベルトFDR大統領が掲げたニューディールと言う諸政策で、危機的な状況に陥った経済を救ったと、高校の世界史の教科書に記載されている。その象徴的な例として挙げられているのがTVA(テネシー川開発公社)であり、大学の入試にも出てくるほどである。

 この巨大公共投資が、本当に経済再生にどの程度寄与したのか、その後の研究で明らかにされてきている。失業率が大恐慌以前の水準に戻るのは第二次世界大戦開始後の1943年になってからであり、ダウが元に戻ったのは、1955年である。こう見ると、戦争が景気回復の有力な手段であることが理解される。

 FDRは1933年に大統領になると予算を倍増させて、道路、橋、ダムなどの公共事業で雇用創出を狙ったが、莫大な予算がすべて効率的に使われて景気回復に効果的であったとは思われない。箱もの事業は継続性のあるものではなく、事業機会を生み出すもととはなっていないし、予算を使う政治家や官僚の組織肥大を生み出していったことは、その後に日本で経験してきた状況と全く同じである。

 金融崩壊を受けて、日米ともニューディールに見習うべきとの論調が多いが、本当の姿をよく研究して方向を誤らないようにしないと、莫大な赤字財政、無駄な施設、肥大した官僚組織だけが後世に残ることになりかねない。オバマ大統領のお手並み拝見というところである。

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