日米首脳会談

首相の英語「聞き取れない」
 1泊3日の専用機での弾丸訪問で米大統領との会談はわずか1時間余りだった。共同声明も記者会見も晩餐会もない、よく言えばビジネスライク、悪く言えば屈辱外交であろう。会いたいというから、施政方針演説の前に呼びつけて、日本はアフガンにも、米国債購入にも重層的に協力的だったとの印象を議会に与えるための、刺身のつまとして利用されたようなものである。

 アメリカのTVも新聞も扱いが冷淡で、国内では四面楚歌の首相が外交でポイント稼ぎに熱心だとして、その上に、大統領との会談でも冒頭の英語は聞き取れないなどと記事にされている。お得意と称する英語もこの程度であることが暴露されてしまった。その後の会談は通訳付きで行われたのは言うまでもない。

 「最も重要なパートナー」とオバマさんから言われて、首相は無邪気にも「外国首脳の中で一番先に呼んでくれた」と舞い上がっているが、米側の本音は、麻生政権の足元をよく見て、今のうちに、無理難題を押し付けて国際公約としておきたいということだ。施政方針演説の内容で強調している経済の復興対策、アフガン問題の処理について、事前に日本側から協力を取り付けたとのお膳立てが必要であったことが理解される。

 金融安定化法案の財源70兆円はいずれなくなり、第二次財源を用意しなければならない。FRBが刷り続ける国債の引き受け手にされるだけであろう。大規模金融緩和と財政出動は将来に大増税かインフレになって次の世代の負担となる。中国と日本はそれぞれ70兆円、60兆円という米国債保有しているが、すでに中国ではこれ以上は駄目と明言している。あとは日本しか頼りにはできないことは明らかだ。

 首相がドル体制の維持に協力するということは、さらに米国債を購入する約束をしたのと同じである。日本が今後も米国債を買い支え続けるということは、日本経済はアメリカ経済よりも早く没落することを意味しているのかもしれない。また、アフガン戦争への協力は、第二のベトナム戦争への参加を示唆しているのかもしれない。この会談が恐ろしいことの始まりではないことを祈っている。

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