救世主中国

中国は救世主となるか
 5年連続して経済成長率8%の目標を決定した。おなじ8%でも、今年は内容が違う。これまでは過熱する経済を抑え込むための8%であったが、今年は落ち込む経済を何とかこの水準にまで引き上げたいというものである。これまで実際には2桁の成長をしてきたが、不況の大津波が押し寄せるなか「保八(8%を保つ)」は容易ではない。




 首相の政府活動報告では「わが国の経済発展にとって最も困難な1年となる」と、危機感を率直に語っている。雇用の確保や社会の安定化のためには、「保八」の達成は欠かせない。先進諸国は中国の潜在的な成長力に注目して、世界経済を下支えするよう原動力になってほしいと期待している。

 面積では世界第3位、人口では世界第1位、GDPでは日本に次いで第3位、軍事力では米国に次いで第2位の大国であるが、総人口13億人のうち、内陸部に住んでいる10億人の生活改善が主要な課題となっている。発表された経済対策では、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、携帯電話の購入に対して13%の政府補助などで総額20兆円の内需が見込まれている。

 中国にとって、2009年は1919年の五四運動から90年、1949年の国家成立から60年、1979年の改革政策から30年という節目の年である。さらには1989年の天安門事件から20年である。様々な問題を内包しながら、世界がこの国の成長に注目していることには変わりはない。最大の問題は共産党政権内部にひそむ権力の腐敗と汚職である。これは独裁を続けている限り防ぎようがない。

 先日、上海市の万博会場の建設状況を見てきたが、昨年の北京五輪に続いて、2010年の上海万博は中国にとって、超大国へ進むone two stepである。新空港のそばで、上海市の南東部に建設中の会場の規模を見れば、その意気込みの凄さを感じることができる。

*五四運動:第一次大戦後のベルサイユ講和条約で決まった「日本がドイツから奪った山東省の権益を容認」に対する反対運動。


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