景気対策という選挙対策

追加経済対策


 政府も民主党も選挙を控えて、少しでも有利な立場を作りたいから、それぞれ15兆円とか20兆円の追加経済対策を打ち出している。バブル崩壊不況の1990年代にも、同じようなことを実施して巨額の財政赤字を積み上げたことを思い起こされる。


 G20で欧州の反対を押し切って、GDPの2%の財政出動を米国が提案したことに沿っていると首相は主張している。ドイツやフランスがこの案に反対した理由は、景気対策としての効果は薄く、徒に財政赤字を膨張させることを理解しているからである。これに対して、わが首相は「ドイツはケインズを理解していない」と現代経済学を理解していない無恥ぶりを曝した。



 ケインズが想定していた財政出動の時期は、投資や消費とも実体経済が泥沼に落ち込み動きが取れない時であろう。ここで一気呵成に財政出動をすることで、悲観的ムードが一掃されて景気が上昇していく。日米をはじめ先進国では、まだそこまでは経済が落ち込んではいない。だからEU側の主張は正しいと思う。



 この状況で給付金支給などは、今のような雇用不安が高まるという中では、宣伝しているほどは消費に回らず貯蓄にいくことは目に見えている。景気浮揚にはほとんど役に立たないし、消費が上向かないのに、企業は設備投資などはしない。ましてや、首相の言う赤字国債の発行などは論外である。

 かくして今の時期のばらまき景気政策は、将来の付けを増大させ、景気回復にはほとんど効果は薄い。まじかに控えた都議会議員選挙や衆議院選挙対策に向けた税金のバラマキであり、これで潤うのは政治家と霞ヶ関界隈の官僚だけであろう。国民も多少は恩恵を受けると思ったら、大間違いで、6年後には消費税15%が待ち構えている。


http://iiaoki.jugem.jp/