病める日本経済

日本経済の見通し


 昨年夏からの金融危機で日米欧の金融機関が受けた損失額は、4月の時点で合計400兆円であると国際通貨基金IMFが発表している。その内訳は米国270兆円、欧州120兆円に対して日本は10兆円と比較的被害が少なかったことを示した。損失額の3分の2は銀行で、残りは保険会社とヘッジファンドである。


 ところが、同じくIMFが出した本年度の世界経済見通しによると、成長率は米国がマイナス2.8%、欧州がマイナス4.2%に比べて、日本はマイナス6.2%と先進7カ国の中で最悪の値となっている。



 金融機関の受けた被害は少なかったが、経済成長率へ与えた影響は極めて大きかったことを表している。これは戦後長い間に渡って築き上げてきた日本の経済産業構造にその原因があることは明白である。昨年度の貿易統計によると、28年ぶりに輸出額から輸入額を引いた貿易収支は1兆円近い赤字となっている。



 こうなると巨額の財政赤字に加えて、経常赤字という米国と同じ双子の赤字となる恐れがある。この先、欧米の個人消費が以前の水準にまで回復する可能性は低い。従来型の輸出立国を維持するには中国やインドなど発展途上国向けの輸出に期待するしかない。これには様々な問題が伴うから、結局は国内消費の拡大で経済成長の回復を図る以外には手はない。


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