所得税もアップのたくらみ

税金に対する意識


 教育、勤労、納税は憲法26条、27条、30条に規定されている国民の三大義務である。憲法記念日に因んで、この中で最も意識されない納税について考えてみる。給与の銀行振込みが普及しているから、給与明細を毎月手にしても、あまりよく見る人はいない。見たとしても税金が多いことをぼやくぐらいであろう。



 日本以外の先進国では給与所得者の源泉徴収とか年末調整はない。年度末に支払う税金は新入社員から社長まですべての人が毎年、個々に確定申告する制度を取っている。確かに、日本の制度は余計な手間がかからなくて楽であるが、その分だけ税金に対する意識、即ち節税とか税金の使われ方に関する感覚は低くなる。これこそ歴代の日本の為政者が目指してきたことである。



 源泉徴収とか年末調整とか言うシステムは、ナチスドイツの制度を導入したことは知られている。日本では戦争費用を効率よく集める手段として、1941年の太平洋戦争を始める直前に導入されたという。国税の規則によれば、給与所得者は所得税をとられていても、納税者は勤務先であり、単に税というカネを負担しているにすぎない。



 日本の法律の全ページを100とすると、そのうち80は税法と言われている。要するに税金に関する法律は複雑怪奇であり、一般国民には分からないようにできている。これも為政者の狙いのように思える。3月末に所得税に関する法律が改正されて、これによると、給与所得控除を引き下げる企みが潜んでいる。要するに増税である。ここではサラリーマンはもっと税金に対して意識を払うべきとだけ申し上げておく。


*三木義一著「サラリーマンのための所得税入門」光文社新書 \760.


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