欧州の安定

ライン川を挟んで



2000年前にカエサルローマ帝国の北方境界としてライン川に防衛線を構築した。この川はスイスのトマーゼ湖から出て、ドイツとフランスの国境を北に向かうが、その先はドイツ国内に入り、北へ向けてボン、ケルン、デュッセルドルフなどドイツの主要都市を通過して、オランダ国内で2分してからロッテルダムで北海に入る。



 第一次と第二次世界大戦では独仏両国は熾烈な戦闘を繰り返してきたために、精神的物質的に深い傷跡を残した。そのため1945年以降でも、様々な分野で問題を繰り返してきたが、ロンドンでのG20サミット会議後に開かれたNATO創設60周年を迎えた首脳会議では、フランスのNATO復帰により歴史的な友好関係が構築された。



会議はライン川を挟んで仏側のストラスブールと独側のケールの両都市で開かれ、ライン川にかかる現代的な歩道橋を両首脳が徒歩で渡る姿が全世界に放映された。EUとともにNATOは欧州統合の象徴として、未来への懸け橋となる期待を抱かせる出来事であった。....




ドーデの小説「最後の授業」で描かれた名作の舞台も、永遠に歴史的な追憶の彼方へ追いやることになるであろうことを予感させるものだ。独仏の共同事業で、この地域は数年前には軍事的な対立の時代のコンクリートの壕を残したまま「二つの岸の公園」と生まれかわっている。今後、EUはロシアとの関係の安定に全力投球することになる。



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