裁判員制度

裁判官の独立

 憲法76条の3項には「すべての裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される」と規定されている。この条項は何ものにも拘束されない裁判官の独立を司法の中心に据えた重要な内容である。裁判官にはその職務に相応しい報酬が国から、即ち国民から支払われているはずである。

 裁判員制度では、国民からランダムに選ばれた裁判員が、裁判官の職務の一部に加担することになるから、これは裁判官独立を定めた憲法に違反する可能性がある。被告人の立場から見ると、この憲法に規定されていない裁判員によって量刑が判定されることは、被告人の正当な権利の侵害とも言える。

 憲法18条には「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。また、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服せられない」とある。裁判員として指名されたら、ある特定の事情がある場合を除いては、強制的に法廷に引きずり出される裁判員制度は、この憲法の条項にも違反しているおそれがある。

 裁判員制度は国会ではすべての政党が一致して成立させたものであるが、このように憲法に触れる恐れのある法律を立法機関が認めて、最高裁判所がその実施を宣伝している仕組みは司法、行政、立法の三権分立を犯すものとも考えられる。このようにさまさまな問題を抱えたまま、裁判員制度がスタートする。


http://iiaoki.jugem.jp/