FRB議長の講演

未来予測への疑問
 米国の大学では5月から6月にかけて卒業式が行われる。日本の大学でのように、学長が卒業生を送る演説をすることもあるが、時の有名人が招待されてスピーチをするケースが多い。2005年にスタンフォード大学で行ったアップル社のJobs氏の演説は今でも名スピーチとしてウエブ上に残されている。2007年にはハーバード大学で、ビル・ゲイツ氏がスピーチをしている。

 5月22日にボストン大学ロースクールで行ったFRB議長のスピーチが米国で注目されている。後世に残る名演説かどうかは分からないが、世界的な金融不安の中で、ドルの守護神が行った演説としては耳を傾ける価値がある。

 内容を集約すると、経済動向の予測を一生の仕事としてきた経済学者にとっても、的確な予測はなかなか難しいもので、選択を誤ることもある。経済の方向を予測することは、これまでのデータや分析では完全にはできない。だから、これからあなた方が困難や機会に直面しても、何とか切り抜けるだけの心の準備をしていくことが大切であるという。

 今回の金融危機に対して万全な措置を講じてきたが、自分の知識と経験の全部を注いでも、完全な道を選択したとは言えない言い訳をしているように聞こえる。別に議長の責任ではなくて、明日の株価を完全に予測することは誰にも出来ないのであるから、世界のリーダーとしては、あまり言い訳じみたことは言わない方が良いと思う。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke
20090522a.htm

http://iiaoki.jugem.jp/