新GMの姿

The Obama Motor Co.

大統領は「唯一の選択だった」と国有化宣言をしたが、WSJ紙では表題のタイトルで「この決定は不幸な結果をもたらす」と厳しい記事を出している。背景には全米自動車労働組合UAWが控えており、この組織は大統領選挙では強力な支援をしていたので、大統領の支援には自ずと限界があることを指摘している。


 自力再建をめざすフォード社からは「GM国有化後も、公平で活力ある競争が維持されることを期待する」と大統領には釘を刺している。7月10日をめどにして資産売却の手続きが進むが、これまでの大型車優先の生産システムを燃費規制の中で小型車へと転換するのはかなり難しい。


 新GMが成功する道は、従来型のガソリン車中心のもの考え方を捨て去ることにかかっていると思う。これまでとは違った全く異なった車の概念を提案することで、失われた自動車産業への魅力を回復することができる。

 大統領は「世界最大の電気自動車の国」という構想をグリーン・ニューディールとして打ち出しているのであるから、これに向けての新産業創出ということになれば、シリコンバレーのみならず、各地に点在するハイテクパークからの頭脳を参画させることが可能となる。


 かくして、さまざまな業界からの知恵と経験を結集して、先端技術を開発する精神にあふれた米国は新領域を切り開く強さを全面に出すことができる。そうなると、むしろ脅威は日本に及び、うかうかすると、たちまちにして日本的物づくりシステムの敗北ともなりかねない。

http://online.wsj.com/article/SB124381255295170405.html