官僚機構の巻き返し

民営化という隠れ蓑

民主党も賛成して政策投資銀行の完全民営化の撤回が決まった。あれほど官僚指導政治に反対を唱えていた民主党の賛成は理解できない。

http://www.dbj.jp/

 1999年に特殊法人改革で、日本開発銀行北海道東北開発公庫が統合されて、資金の流れを「官から民」に移し経済を活性化する目的で日本政策投資銀行が設立された。2008年10月に、特殊法人日本政策投資銀行を解散し、特殊会社たる株式会社日本政策投資銀行として新たに発足した。


 すべての構造改革を全面的に支持しているわけではないが、今回の動きは、郵政民営化に対する反対運動の流れと一致するものである。改めて霞ヶ関の官僚サイドの抵抗の強さを知ることができる。民営化の逆転により、政府と官僚は人事権を持って、両組織を強い影響下に置くことができる。


 民間金融機関や投資家が融資や投資もできないと判断した企業に、この銀行は融資して、結果が失敗しても国が引き受けることになる。すなわち国民はできの悪い負担を引き受けさせられる。このように、政府や官僚に都合の良い産業には甘い融資をすることになりやすい。民間金融機関の収益機会が奪われる民業圧迫にもなりかねない。


 中途半端な民営化だけが残り、官僚や政治家の判断も、民間会社としての隠れ蓑として利用される可能性もあり、官僚の天下り組織としても機能し、民間会社だから幹部は適当に報酬を自由に積み上げることもできる。このように構造改革と称するいい加減な民営化は、それ以前の状態よりも、国民にとっては分かりにくい、始末が悪いものとなる。これこそ官僚生き残りの深謀遠慮なのだ。
http://iiaoki.jugem.jp/