長期金利の上昇

長期金利

 償還期間が1年以上の債券、負債、金融資産などの金利であり、日本では残存期間が10年の新発10年物国債がその代表的なものである。企業の設備投資や個人の住宅投資など長期資金の需要と供給のバランスで金利が決定される。

 ここのところ東京債券市場では長期金利の上昇が続いて、1月の1.20%から1.55%になっている。外人投資家の資金が国債から株式へ流れたことと、国債増発からの動きである。売りが優勢となると、国債価格は下落して、金利は上昇する。欧米でも景気対策のため。巨額の財政出動したことで同じような動きである。

 長期金利の上昇は、企業や家計の借入に影響するから、じわじわと景気回復に水を差すことになる。標準的な金利の値は無担保コール翌日物金利より、約1.5%高いくらいのことが多いから、その金利が0.5%なら、長期金利は約2.0%程度である。国債価格は市場の金利水準の変化に連動する。つまり金利(利回り)が上昇すると国債価格は下落し、逆に金利が低下すると国債価格は上昇する。



債券価格と金利の関係:

 問題:1年前に利率1%、額面100万円の10年満期の国債を100万円で購入したとする。現在は金利が2%に上昇して、額面100万円の10年満期の国債が発行された。1年前に購入した国債はいくらで売却できるか。

 解答:現時点で長期金利は2%となる。1年前の国債の満期時の価値は額面プラス残存する期間の利子なので、100万円プラス9万円だから109万円となる。ところが、現在の長期金利は2%だから、1年前の国債の現在の価値をKとすると、K+0.02×K×9=109から計算できる。Kの値は923729円となる。かくして金利が上昇すると債券価格は下落する。
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