UAWと官公労

権利と義務
 ビッグスリーの経営破綻の原因の一つとして、UAW、即ち全米自動車労働組合の存在が指摘されている。組合員は自動車だけでなく、航空宇宙産業や農業関係者も含まれ、組合員は総数100万人と言われている。主たる活動は労働者の権利を獲得することで、巨大な票をバックとした政治家へのロビー活動がその中心である。
 
 1960年代前後の大型車全盛時代には、ビッグスリーは大いに利益を上げ、手厚い労働者保護で生産性を上げることに専念していた。一度獲得した権利を放棄することは難しい。近代化に乗り遅れた自動車産業においても、利益の大部分は年金や福祉に回り、ますます経営を圧迫することになっていった。本体が潰れても獲得した権利を捨てることはできない。


 日本ではこのUAWに匹敵する規模の組合は国家公務員と地方公務員が加盟する自治労官公労という組合で、組合員は推定150万人という。ビッグスリーとは違うところは、公務員の所属する組織は金を稼ぐ必要がないところである。むしろ、国民から集めた税金という収入をできるだけ浪費することが仕事である。


  農水省ヤミ専従疑惑と、それに関わる隠蔽体質も根は同質であると思うが、すべて、自分たちで金を稼ぐ必要のない体質に依存していると思う。公務員の関係する過去の汚職天下り、年金、郵政、福祉、薬害などすべて、この他人依存体質から出てくるものだ。


 民間では年収200万円以下の労働者が1000万人を超えたと報告されている。これに対して、全国の自治体職員の平均年収は700万円と報じられている。従業員10人以上の民間企業の全国平均が480万円だから、破格の給与水準である。全国のトップは東京の多摩市で850万円という。公務員だけが恵まれている国はビッグスリーと同様に滅びる運命にある。
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