郵政と航空

株式会社とは

 株式会社は誰のものかという議論をするつもりはないが、「株主のもの」であるというのも間違いない答えである。株主の負託を受けた経営者が経営に当たる。日本郵政はいまだ民営化したとはいえ、100%の株式を政府が所有しているから、間違いなく国民のものである。政府は国民を代表して、この企業の育成に努力する義務を負っている。


 「株式会社に対する政府の介入は最小限にとどめるのが当然」と首相は言うが、一般論としては全く正しい。しかし、日本郵政という民間企業は全株式を政府が保有する国有企業だ。だから政府が株主として経営に注文をつけることは当然の権利であり義務である。


 JALは1953年に日本航空株式会社法に基づいて設立された国営航空会社だったが、1987年に民営化された。資本金2510億円、従業員が5万人を超える大企業である。完全に民営化されているが、長年にわたる国営企業の弊害がそのまま継続していて、高い人件費、複雑な労働組合など、経営陣も含めて放漫経営のし放題であり、いつ破産してもおかしくない状態である。


 これに対して、官房長官財務大臣国土交通大臣が経営再建に乗り出しているが、日本郵政に対する政府の態度とは整合性が取れないから、これこそお門違いということになる。このような矛盾に満ちた政府の姿勢そのものが支持率降下の原因であることを理解すべきである。

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