市場原理と決別

国民の程度

自民党の幹事長は「役員人事だろうが閣僚人事だろうがどうでもいいことだ。だけど、その方がみんな面白いんだから。それは日本国の程度を表している。国民の程度かもしれない」と内閣支持率の低迷のいらだちを語った。思わず漏らした本音であるが、選挙を控えて、まずい発言と思って撤回した。



 首相は「私の発言がぶれ、政治に対する不安、不信を招き、自民党の支持率を下げた」と両院議員懇談会や記者会見で頭を下げた。この発言は首相がこれまで、機会あるごとに説明してきた内容とは全く異なるから本音ではない。この程度の発言で騙されるほど国民の程度は低くはない。これに対して、これまで反旗を翻してきた反麻生の面々が、感動したとか言って首相と握手をしている姿は選挙を控えた偽装そのものである。

 それよりも首相が「市場原理主義からの決別」という発言をしていることには驚く。これまでの不手際を謝罪したというレベルのこととは違って、この発言の意味する内容は大きい。この内容は4年前の選挙で圧勝した郵政民営化を完全否定する内容になるからである。確かに現在の民営化はその方法に数々の問題があるが、大多数の国民は4年前に賛意を表明したのである。今のような中途半端なやり方では、混乱に拍車をかけ、国の将来基盤を揺るがしかねない。

 市場原理主義というのは資本主義の根幹に流れる思想であるから、これを捨てるということは、社会主義経済へ向かうこと意味している。この時期にこのような不用意な発言をするようでは、日本の指導者としての資格はない。高齢者を侮辱した発言以上に重い内容である。
http://iiaoki.jugem.jp/