世紀の婚礼

G2 米中協議
「山道は人が歩けば道になるが、歩かなければ雑草でふさがれる」と米中戦略・経済対話の開会式で、オバマ大統領は孟子の言葉を引用し、未来を切り開く道を米中両国がともに歩んでいこうと呼びかけた。「相互不信によって道を雑草でふさぐことはあってはならない」と強調して、対立ではなく持続的協力の必要性を訴えた。


 クリントン国務長官は「人々の心が一つになれば、泰山を移すことができる」という孔子の言葉を使って、世界の課題に米中が立ち向かう決意を披露した。また、ガイトナー財務長官も、中国語の熟語「風雨同舟」を持ち出し、経済危機への米中の取り組みを評価した。

 中国の戴秉国副首相級は、オバマ大統領の選挙中のキャッチフレーズ「イエス・ウィ・キャン」で演説を締めくくった。気候変動対策などで両国の隔たりはあるが、双方は今や世界をリードする2超大国として開会式を演出した。中国の新聞では、この協議を世紀の婚礼と表現している。

 40年前には米中の関係は、今の米朝の関係と同じようなもので、双方は非難の応酬合戦をしていた。これに終止符を打ったのが、1972年2月21日のニクソン大統領の中国訪問であった。この背景には日米貿易交渉の行き詰まりがあり、業を煮やした米国が、日本の立場を無視した頭ごし外交をした。これに対して日本側は不快感を表した。

 ブッシュ政権時代にも経済分野で米中協議は続けられていたが、世界規模の課題に対する「責任の共有」を通して、21世紀の米中関係の基礎をつくる試みであり、米中2カ国による事実上の「G2」の始動ともいえる。今回も米国は日本側にはこの会合を通知しただけであった。米中双方にとって日本は、無視することのできないパートナーである立場は変わらない。どのような形で日本の存在感を示していけるのかという戦略が問われている。
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