ドルが揺らぐ

スティグリッツ教授の国連報告
 9月24,25日にピッツバーク(Pittsburgh)で開催されるG20を前にして、この春にスティグリッツ教授が中心となってまとめた国連金融サミットの結果をまとめておきたい。この報告は世界的な金融危機への対策を勧告するために昨年10月に発足した。ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏率いる国連の国際通貨・金融システム改革専門家委員会がまとめたものである。



これによると、米ドルに代わる基軸通貨の創設、主要20カ国・地域(G20)による協議体制の廃止、金融機関の規模の世界的な規制、金融機関のタックスヘイブン租税回避地)との取引制限を呼びかけている。さらに、金融機関が取るリスクについても厳しく制限するよう提言している。

 報告書には「少数の先進国を発端とする金融危機が瞬く間に広がり、世界経済に影響を及ぼしたのは、国際貿易・金融システムの抜本的な改革が必要であることの明確な証左だ」との認識が根底となっている。

 スティグリッツ氏は委員会の提言は大胆ではあるが、影響力を発揮できるものと確信していると述べた。委員会は金融問題に関するG20の役割を無くし、代わりの新体制として、国連安全保障理事会と同等の権限を持つ「世界経済理事会」の創設を提言している。

 新しい国際準備通貨システムとは大きく拡大されたSDRと考えることができる。定期的或いは循環的に調整放出を行い、適切なサイズの準備金に調整する。この提案には米国とEUを除いては、おおむね賛意を表している。いつものことであるが、日本の立場は微妙である。
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