地方分権の問題点

地方分権の盲点

総選挙の争点は政権交替と地方分権などと見えてきた。後者については全国知事会が代表して、もっと予算と権限を寄こせの大合唱である。ところが、知事会なるものは中央官庁の総務省のお膝元で管理されているから、一つにまとまることはあり得ない。そこで大阪府の知事が前面に出てきて、地方分権改革の促進を各党に迫っている。

 


 徳川幕府時代でも同じであったが、1868年の明治維新以来、この国の行政が中央集権で進められてきたことは周知のことである。すべては「おかみ」の指示に従って、官だけではなく民間企業も運営されてきている。そこへの人材供給元として東大法学部の果たしてきた役割は大きい。

 さらには地方の県庁や市役所だけではなく、警察、裁判所などもすべてトップには霞が関からの派遣で成り立っている。中央だけではなく、地方も含めて住民とはあまり関係ないところで、行政が行われている。住民の役割としては、まじめに税金を納めることに尽きる。


官だけではなく民においても、大企業の殆どが本社を東京に置き、官と同様な考え方で経営を行っている。要するに、この国ではすべてのことが中央集権で行われている。その方が物事を官に都合よく円滑に進めることができるからである。問題は中央の行うことは、しばしば地方のことを知らないために、間違った経営や行政が行われてきたことだ。


地方では、大局的な流れはすべて中央にお任せであるが、悪知恵を働かせるところはいくらでも存在する。できるだけ仕事をさぼり、給料だけはたくさん手にする仕組み作りに精を出していることが、いつも新聞紙上をにぎわしている。

 徒歩通勤手当や独身手当など、一般には非常識が常識としてまかり通っている。職務より上位の給料を支払う「わたり」も、多くの市町村で行われている実態が報告されている。中央集権の弊害は認めるが、地方分権にはあまりにも多くの問題が内包されているから、耳触りはいいかもしれないが、このままでは賛成できかねる。
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