しがみつかない生き方

普通の人生

 毎日100人もの自殺者が出るというのは、先進国としては異常な数値となっている。男女比は7対3であるが、必ずしも65歳以上の高齢者が多いとも言えないところに悲劇がある。ドラマや映画では成功して、いかにも幸せな人物が描かれていることが多いから、自分もそのようになりたいとの願望が出てくるのは当然である。しかしながら現実は簡単ではなく、上昇志向はいいのであるが、誰でもが階段を順調に上れるわけではない。




 心理学者の書いた本「しがみつかない生き方」が売れているという。普通の幸せと言う言葉は、日本人の好みだそうだそうである。そのような幸せを手に入れる方法を伝授してくれるようだ。以下、内容を羅列する。
序章  ほしいのは「ふつうの幸せ」
第1章 恋愛に全てを捧げない
第2章 自慢・自己PRをしない
第3章 すぐに白黒つけない
第4章 老・病・死で落ち込まない
第5章 すぐに水に流さない
第6章 仕事に夢をもとめない
第7章 子どもにしがみつかない
第8章 お金にしがみつかない
第9章 生まれた意味を問わない
第10章 <勝間和代>を目指さない


この本の最後のくだりに、すべての内容が凝縮されているから、下記に引用させていただく。「人生には最高もなければ、どうしようもない最悪もなく、ただそこそこで、いろいろな人生があるだけなのではないか。だとしたら、目指すモデルや生き方がどれくらい多様か、というのが、その社会が生きやすいかどうか、健全であるかどうかの目安になると言えるはずである」。

 この世の殆どの人は「俺にはもっと素晴らしい人生があったはずだ」と思いながら世を去っていくのであろう。それが普通の人生であるようだ。
香山リカ著「しがみつかない生き方」幻冬舎新書 ¥777
http://iiaoki.jugem.jp/